をさの音
おさの音や 両手に雪を うけとめる 方代
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帰宅すると、『をさの音』が買ってあった。そう、そう言えばもう2月になっていたのだ。美鈴には月々販売されるお菓子があるのだけれど、この『をさの音』は今月の和菓子。美鈴の中でも代表的菓子らしい。
何しろ父が美鈴のお菓子を買ってくるようになったのは、この『をさの音』を送って欲しいと、もう随分前に大分県に住む従姉(父にとっても姪)に頼まれたから。
だから予約をして、カレンダーには印を付けて、張り切って買いに行ってきたようだ。
その従姉からの話しを初めて聞いた時、「牛蒡が入っている」とのことなので、メグミと「花びら餅???」と話していた。けれど全然違っていた。ちなみに美鈴の花びら餅は先月父が購入している。こちらも美味。
周りを覆う砂糖が崩れる軽い食感の後に、上品な甘さの餡、そして牛蒡の力強さ。なかなか心地よいハーモニーです。
〝をさ〟とは、機(はた)を織る筬(おさ)の意。なので、茹でて密煮した牛蒡を芯にして、小豆の濾餡を巻いたその形は、糸巻きを模しているのだそうだ。
その意味を知らずに頂いたので、私は、春先の、表面が少しクラストした雪を踏みしめた時のあの音をイメージしました。
〝をさの音〟という言葉自体に、どうやら郷愁を誘うイメージがあるようです。まだ寒い早春、部屋の片隅で機を織る母親や祖母の姿。現代日本からは消えてしまった音とその情景。それは派手さはないが凛とした味わいのあるこの『をさの音』と重なり、遠い日に想いを馳せながらいただくお菓子になっているのではないかな、と想像している。
参考:
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※方代
山崎方代。昭和の放浪詩人。晩年(昭和47年)、鎌倉の鶴岡八幡宮の鎌倉飯店(『美鈴』の近く)の店主が、鎌倉市手広の自宅に6畳一間の家を建て、方代を迎え、それから昭和60年71歳で亡くなるまで方代はその「方代艸庵」で一人暮らしたとか。詳しくはこちらへ。
※筬(をさ)
織機の付属具。経(たて)糸の位置を整え、緯(よこ)糸を打ち込むのに用いる。竹の薄い小片を櫛の歯のように列ね、長方形の框(わく)に入れたもの(竹筬)であったが、今は鋼または真鍮製の扁平な針金で製したもの(金筬)を多く用いる。
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